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2016-02-25更新

交通事故の時の応急処置の仕方

免許取得の際に応急救護処置について習いますが、長い間実践する機会がなければ忘れてしまうものです。交通事故には合わないのが一番ですが、いざという時に対応できるよう交通事故の時の応急処置の仕方について、予習・復習しておきましょう。

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▼応急処置の手順

1.安全の確保
2.負傷者の状態確認とAED及び救急車の手配
3.心臓マッサージ(胸部圧迫)
4.人工呼吸
5.止血
6.AEDの利用
7.救急車の隊員に引き継ぎ

1.安全の確保

交通事故の時の応急処置の仕方_停止表示板

まず初めに事故現場の安全性について確認し、移動の必要があるかを判断します。

その場所のままではさらに追突事故などの二次被害が発生しそうな場合は車を路肩に寄せて、負傷者を安全な場所まで移動しましょう。
移動せずとも救助活動が可能そうであれば、できるだけ動かさず救助活動を開始した方が良いです。頭部を負傷している場合、むやみに動かすと症状が悪化する場合があるためです。

2.負傷者の状態確認とAED及び救急車の手配

交通事故の時の応急処置の仕方_救急車

安全を確認した後に、負傷者に「大丈夫ですか」など声をかけて意識の有無を確認し、反応がなかったり意識が朦朧としている場合は、直ちに救急車を呼びましょう。
意識確認の次は、心肺機能、出血の有無などを確認していきます。

●脈拍の確認
喉仏のすぐ横のあたりにある頸動脈に指を当てると脈拍を確認できます。脈拍がない場合は心臓マッサージが必要になります。

●呼吸の確認
負傷者の口元・鼻に耳を近づけ呼吸を確認します。呼吸がない場合は人工呼吸をすることが望ましいです。

●出血の確認
出血は見てわかる範囲で確認し、大量に出血している場合は止血する必要があります。

負傷者の状態を確認したら、応急処置の優先順位を決めます。
出血の状態にもよりますが、基本的には心臓マッサージ及び人工呼吸を優先し、心臓と肺の両方が機能していない場合は心臓マッサージと人工呼吸を交互に行います。
心肺停止の状態を放置してしまうと脳や全身の細胞に酸素が行き渡らなくなり、助かったとしても後遺症が残る可能性があるためです。
ただし、吹き出すような持続する出血や、心臓マッサージに連動して激しく出血する場合は、心臓マッサージや人工呼吸を一時的に停止し、止血を最優先しましょう。止血が終わり次第速やかに心臓マッサージ等を再開します。

近くに手伝えそうな人がいる場合、手伝ってもらうよう声をかけ、救急車やAEDの手配をお願いして、同時並行で救助活動を進めると良いでしょう。AEDを探す場合、駅・新幹線内・空港・フェリー・学校・スポーツ施設・市役所や図書館などの行政施設・商業施設などに設置されていることが多いです。
また、心肺停止状態かつ酷い出血もある場合は、心臓マッサージ及び人工呼吸を行う人と、止血する人で役割分担をして同時進行しましょう。

3.心臓マッサージ(胸部圧迫)

交通事故の時の応急処置の仕方_心臓マッサージ

脈拍がない場合は救急隊員の到着まで心臓マッサージをしましょう。
胸部の中心(左右の乳首を結ぶ線の真ん中)に両手を重ね、肘を真っ直ぐ(地面や負傷者に対して垂直)に伸ばした状態で、手の付け根の部分に体重をかけ、負傷者の胸部が4~5cm程度沈むように圧迫します。
圧迫するペースは、1分間に約100回(5秒間に約8回)程度で、絶え間なくする必要があります。
心臓マッサージを一人で続ける場合はペースや圧迫する力が落ちる可能性があるので、もし周囲に手伝える人がいる場合は適度に実施者を交代しましょう。「心臓マッサージ30回>人工呼吸2回」を1セットとして、5セット程度を基準に交代すると良いでしょう。

周囲に手伝える人がおらず一人で救助しなければならない場合は、携帯電話をハンズフリーの状態にして119番をかけて通話しながら心臓マッサージをするのも手です。心臓マッサージはできるだけ早く、かつ救急隊員がくるまで(あるいは心肺機能が回復するまで)継続する必要があります。

子供や乳幼児に対して大人と同じように心臓マッサージを行うと、大きな負荷がかかってしまいます。
子供(1歳~8歳程度)に対しては大人と同じ位置に手を置きますが、片手で心臓マッサージを行いましょう。
乳幼児(1歳未満)に対しては左右の乳首を結ぶ線よりも指一本分くらい下側に、指を二本(人差し指と中指など)置いて心臓マッサージを行いましょう。
子供や乳幼児に対して心臓マッサージを行う場合の圧迫の強さは、胸部の厚みの1/3程度くぼむくらいが適切です。胸部の骨折を心配されるかもしれませんが、脳に血液を送ることが再優先です。万が一骨折したとしても脳に血液をしっかりと送ることができれば命は助かります。

4.人工呼吸

交通事故の時の応急処置の仕方_人工呼吸

呼吸がない場合は人工呼吸をすることが望ましいですが、訓練を受けていない市民救助者は行わなくても良いとされています。
頚椎損傷をしているかどうかの判断が難しく、下手に頭部を動かさない方が良いことがありますので、そういった意味からも人工呼吸はせず、心臓マッサージのみを行って問題ありません。

訓練を受けており実行できる場合は、負傷者を仰向けにして片手で額を抑え、もう片方の手で顎を持ち上げて気道確保をします。その後、鼻を押さえ、息を1~1.5秒かけて吹き込み、胸部が膨らむことを確認しましょう。
人工呼吸と心臓マッサージを交互に行う場合、心臓マッサージを30回する毎に人工呼吸を2回のペースが良いとされています。

人工呼吸を実施する場合は感染病防止の観点から、できるだけ専用のポケットマスクを装着して行いましょう。

乳幼児など、肺が成長しきっていない対象に人工呼吸をする場合、大人の肺活量で息を全力で吹き込むと肺に大きな負担がかかる可能性がありますので、胸部が軽く膨らむのを確認しながら少なめに息を吹き込みましょう。

5.止血

交通事故の時の応急処置の仕方_止血

出血がある場合は感染症予防のために応急処置をする前にビニール手袋やグローブ(なければビニール袋などを手袋の代わりにします)を装着しておきましょう。咄嗟に用意するのは難しいので、車検証などと一緒に応急処置用のビニール手袋をダッシュボードに常備しておくと良いでしょう。

応急の止血法としては、直接圧迫止血法と間接圧迫止血法の2種があり、基本的には直接圧迫止血法を用いて、間接圧迫止血法は可能であれば補助的に行うと良いでしょう。

●直接圧迫止血法について
傷口に清潔なハンカチやタオルを直接当てて、実施者の手のひらで傷口を圧迫する方法です。
可能であれば、出血している部位を高い位置に持ち上げると止血効果が高まります。(ただし頭部については頚椎を損傷している場合、症状を悪化させる可能性があるので、圧迫を下手に動かさない方が良いでしょう)

●間接圧迫止血法について
傷口の上にある動脈を圧迫し、血液が流れる量を減らす方法です。
腕の出血の場合は、二の腕の内側の中央部分を握って、強めに圧迫します。
足の出血の場合は、骨盤と股の付け根を結ぶ線上を手のひらで押さえ、肘を伸ばした状態で軽く体重をかけて圧迫します。
直接圧迫止血法に比べて難しく、得られる効果もそれほど高くないため、同時に実施できないのであれば直接圧迫止血法を優先すると良いでしょう。

●その他の止血法について
上記に加え、緊縛止血法という止血法もあります。
ただし、手足の切断時など、直接圧迫止血法では止血が困難なケースに行う方法で、正しく行わないと末梢神経を壊死させてしまう恐れがあるため、安易に行わないようにしましょう。
実施せざるを得ないような状況の場合、出血している部位よりも心臓に近い動脈を、止血帯もしくはタオルなどの幅3センチ以上のもの(細すぎる場合は血管や神経を痛めてしまいます)を用いて、強く縛ります。
緊縛止血状態が1時間以上続くと阻血状態になり、壊死や神経麻痺を引き起こしますので、30分~60分に1回は止血帯などを緩め、縛った部位よりも先に赤みが戻る程度血流を再開させる必要があります。

6.AEDの利用

交通事故の時の応急処置の仕方_AED

AEDを利用できる状況になれば、装着して電気ショックによる心肺蘇生を試みます。

▼電極パッドを貼り付ける際の注意点

  • 電極パッドは直接肌に貼り付ける
  • 胸部が濡れている場合はタオルなどでよく拭きとる
  • 湿布などの貼り薬は剥がして薬剤を拭きとる
  • ネックレス、ブラジャー(のワイヤー)などの金属類は取り外すか、最低でも電極パッドと接触しないように注意する
  • ペースメーカーが植えこまれている場合はペースメーカーを避けて貼り付ける
  • 胸毛が濃い場合はカミソリなどで除毛する(AEDのケースにはカミソリが付属していることが多い)
  • AEDを貼り付ける対象が女性の場合、周囲から胸部がはだけた状態を見られないよう、人の壁を作ったり、タオルや上着を胸部にかけて露出を防ぐなどの配慮を行う

詳細な装着法や利用法はAEDのガイドやアナウンスを参考にしてください。
AEDによる心電図解析と電気ショックを行う際は、負傷者に触れないようにする必要がありますが、それ以外の時は心臓マッサージなどは継続して行ってください。

7.救急車の隊員に引き継ぎ

救急隊員が到着したら、負傷者の状態を説明し、救急隊員の指示に従ってください。

まとめ

心肺蘇生や止血などの応急処置の方法を知っておくと、交通事故以外のケースであっても命を助けることができます。大切な人が大怪我をした時もしっかりと助けられるよう、応急処置の手順などはよく覚えておきましょう。

なお、加害者が負傷者の救助を怠った場合、ひき逃げ(救護義務違反)となり、処罰の対象となります。
また、事故が発生しても被害状況を確認せず、負傷者の存在に気付かずに立ち去った場合でも、ひき逃げとして罰せられるため、事故を起こした際には、必ず負傷者がいないかよく確認しましょう。

その他の事故対応については、「交通事故の際の対応手順」をご確認ください

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