2016-04-26更新
AT車・MT車のそれぞれのメリット・デメリットを比較
車は走行速度に応じてギアを変える必要があり、 ギアチェンジを手動で行うMT(マニュアル・トランスミッション)車と ギアチェンジを自動で行うAT(オートマチック・トランスミッション)車があります。 それぞれにどのような特徴(メリット・デメリット)があるのかまとめました。
▼AT車・MT車を比較
1.MT車の特徴
2.AT車の特徴
3.MT車とAT車のメリット・デメリット比較
4.MT車とAT車のシェア
1.MT車の特徴
MT(マニュアル・トランスミッション)車は、運転者がシフトレバーを用いて手動で車のギアを変更し、クラッチペダルを操作する必要があります。
走行速度に応じた適切なギア選択や、発進時の「半クラッチ」操作など、それらが自動化されていて操作不要なAT車と比べると操縦が複雑で面倒なものです。
また、クラッチ操作やギア・チェンジが適切にできていなければ「エンスト(エンジンストール)」を起こしてしまいます。
ただし、それらの操作が「車を操縦している感覚」を味わうことに繋がると考える人もおり、運転そのものが好きな人にとっては簡素な操作のみであるAT車では物足りなく感じてしまうようです。
AT車が普及し初めた頃はまだ発展途上の技術であったため、燃費はMT車の方が良いとされていましたが、現在ではAT車の技術開発が進みカタログ燃費で言えばMT車よりAT車の方が優秀になってきています。
2.AT車の特徴
AT(オートマチック・トランスミッション)車は、クラッチペダルは存在せず、走行速度に応じて自動的にギアが選択されます。
MT車と比べると非常に簡単に運転できるため、女性などの複雑な操作を必要とするMT車では運転できなかった人も運転免許を取得できるようになりました。
そのため免許の取得率が大幅に上昇し、日本の道路事情(頻繁に信号待ちが発生し、渋滞も多い)との兼ね合いもあってシェアを急速に拡大(シェアについては後述します)しました。
AT車ではクラッチ操作やギアチェンジが自動化されているため、特殊な状況でない限りはエンストを起こすことはありません。
3.MT車とAT車のメリット・デメリット比較
MT車 | AT車 | |
---|---|---|
メリット | 「車を操縦している感覚」を楽しめる(と感じる人がいる) | 操作が少ない分、楽に運転できる |
内部の構造が単純であるため同クラスのAT車より新車時の車両価格は少し安くなる | エンストしない | |
内部の構造が単純であるため故障し辛く、パーツの寿命が長い | クリープ現象のおかげで坂道発進時に下がりにくい | |
クラッチのおかげでブレーキとアクセルの踏み間違いをしても急発進する可能性が低い | 国内で製造・販売されている車種の多くがAT車のため、車種の選択肢が多い | |
デメリット | ギアチェンジやクラッチの操作などが煩雑 | 「車を操縦している感覚」が楽しめない(と感じる人がいる) |
操作を誤るとエンストを起こしてしまう | 内部の構造が複雑であるため同クラスのMT車より新車時の車両価格は少し高くなる | |
坂道発進時に下がりやすい(特に重い車など) | 内部の構造が複雑であるため故障しやすく、MT車に比べるとパーツの寿命が短い | |
国内で製造・販売されている車種の多くがAT車のため、車種の選択肢が少ない | ブレーキとアクセルの踏み間違いで急発進してしまう可能性がある |
4.MT車とAT車のシェア
西暦 | MT車割合 | AT車割合 | 車両販売台数 |
---|---|---|---|
1985年 | 51.20% | 48.80% | 2,892,894 |
1990年 | 27.50% | 72.50% | 4,085,005 |
1995年 | 19.20% | 80.80% | 3,181,286 |
2000年 | 8.80% | 91.20% | 2,710,840 |
2005年 | 3.40% | 96.60% | 3,096,683 |
2010年 | 1.70% | 98.30% | 2,714,319 |
2011年 | 1.50% | 98.50% | 2,125,329 |
上記の表は自販連にて掲載されていた、国内メーカーの普通車のみのMT・AT比率のデータです。
2011年時点で日本の自動車販売台数におけるAT車の割合は98.5%となっています。
日本の道路事情もあって、AT車は加速度的にシェアを伸ばし、現在はほどんどがAT車で、一部の社用車やスポーツカーのみがMT車という状況になっています。
まとめ
日本で登録されている車の99%近くがAT車になっている現状、MTの免許を取る必要性は低いと言えるでしょう。
ただし、企業の商用車・バスなどの大型車・スポーツカー・中古車・MT車が主流な欧州など、MT車に乗る可能性が0ではない以上、MT免許で取得しておくのは決して悪い選択肢ではありません。
AT免許でもMT車を運転できる免許に切り替える「限定解除」もありますので、ATで免許を取得した人は必要に応じて限定解除講習を受けると良いでしょう。
また、クラッチペダルはない(クラッチが自動で制御される)がギアチェンジは手動で行う「2ペダルMT」など、「車を操縦している感覚」をある程度残しつつも面倒な操作を低減した、MTとATの中間的な車もあります。
「MTの方が(あるいはATの方が)絶対的に優れている」ということはありませんので、自分の目的や好みにあった車を選ぶと良いでしょう。