2018-10-23更新
科学を超えるもの
普遍的なスポーツカー
<科学と非科学>
お世話になっております。
株式会社ラグザス・クリエイトの知念です。
前回の「自動車業界の未来~フォルクスワーゲングループから見る自動車業界の企業統合~」はいかがでしたでしょうか?
質問や感想はドンドンこちらのメールまで送ってきてください。
→ h.chinen@raxus-create.co.jp
では早速本日のテーマに入っていきたいと思います。
本日のテーマは「科学と非科学」です。
では、初めていきたいと思います。
前置きはなく早速本題に入っていきます。
車の半分は非科学的要素からできています。
そう言いますと
「車は科学の力で動いているんじゃないの?」
と思われるかもしれません。
もちろんそれは事実です。
科学の発展がなければ車は誕生することはありませんでした。
ですが、デザインとなると話は別です。
デザインは科学的なのでしょうか?
この問いに答えることは非常に難しいように感じるかもしれませんが、実際は非常にシンプルです。
科学といえばリニアです。
言い換えれば線形なのです。
つまり科学的思考というのは線形思想です。
なぜそう言えるのかといいますと、デカルトの還元主義に端を発するのですが、あまりにも難しすぎるので説明は割愛させていただきます。
私も若いころ科学一辺倒になった時期がありました。
その後にやってきたのが仏教の一辺倒の時期です。
その両者を経験して言えることは、ものには程がありバランス良く向き合っていくことが一番であるということです。
今回のテーマは「科学を超えるもの」と題して科学を超える圧倒的なデザインを持つブランドを参考に考察を進めていきたいと思います。
一貫して最も非科学的なデザインを持った自動車ブランドとは一体なんでしょうか?
それはポルシェです。
言うまでもなくポルシェのデザインは曲線美として表現されています。
したがいましてポルシェのデザインは科学的とは言えません。
<ポルシェの始まり>
ポルシェはその独特なデザインで一躍脚光を浴びました。
唯一無二と言っても過言ではありません。
ポルシェと言えばドイツのシュトゥットガルトにある世界最高と言われるスポーツカーメーカーです。
ポルシェの歴史は356から始まりました。
ここがポルシェの始まりです。
こちらの車は931年、フォルクスワーゲン・タイプ1(後ビートル)を設計した技術者フェルディナント・ポルシェによって設計されました。
その後、世界一と言われるスポーツカーを製造しました。
それが911です。
ポルシェと言えば911と言うように、911はポルシェの代名詞となっていきました。
<ポルシェの種類>
ポルシェのデザインに関しては唯一無二の圧倒的なデザインと言えるでしょう。
「最新のポルシェが最良のポルシェ」と言われるように効率化をどこまでも追及する姿勢を持っている反面、普遍的なデザインを持っています。
つまり一貫したデザインがあるのです。
意識的にか、もしくは無意識的かに関わらずこれは典型的なブランディングとなっています。
さらに、先程もお伝えしましたが、「ポルシェの哲学は効率化にある」というのも非常に有名です。
出来上がったブランドコンセプトを変えることなく一貫して効率化をかけていくといったスタンスが見られます。
ポルシェほどユニークな自動車は無いと言えます。
なぜならば、ポルシェのデザインは全てのシリーズにおいてもコアな部分は共通して貫かれています。
言い換えれば、すべては911の延長線上にあると言えます。
ポルシェ=911という方程式のもと、すべての車のコンセプトが決定されていっているような印象すら受けます。
ここがポルシェの最大の魅力なのです。
半世紀以上に渡り一貫して同じブランドコンセプトを確立するという姿勢は感動するに値します。
世の中においてよく見受けられますのが、例えば今までとは全く違うデザインに手を出してみたり、シリーズ化を中止し新規の企画を立ち上げる等々です。
そんな中、同じことをやり続けるポルシェには感動します。
ポルシェと言えば911ですが、それ以外にはどのような車種があるのでしょうか?
以下に列挙したいと思います。
・ボクスター
ボクスターと言えば水平対向かつ6気筒のエンジンを搭載しています。
2シーターでオープンのスポーツカー。
名前の由来は、水平対向エンジンを表す「ボクサー」という意味と、「スピードスター」というポルシェが扱うオープンモデルの呼称を掛け合わせた造語が語源です。
ボクスターは言ってしまえば911の2シーターのオープンカーバージョンです。
ここがポルシェらしいのです。
一貫して911のデザインを踏襲する姿勢が見受けられます。
そして、ボクスターに続いて有名なのが・・・、
・ケイマン
987型ボクスターのクーペモデルとして誕生した車です。
車体の中央部分にエンジンを搭載しており、車体の前や後ろにに重量物がないので、車両運動性能に優れた車です。
こちらも言ってしまえば911の2シーターバージョンです。
デザインを見て頂ければあきらかに911の派生系であると分かって頂けると思います。
そして・・・、
・カイエン
5ドアのSUV車です。
こちらはフォルクスワーゲンと共通のプラットフォームを使用し開発されたモデルとしても有名です。
こちらはSUVバージョンの911と言えます。
例え形状が大きく変わってもデザインやコンセプトは一貫して911なのです。
そして・・・、
・パナメーラ
カイエンに次ぐポルシェ待望のファミリーカーとして投入された4ドアセダン。
大きめの車であるというイメージを受けますが、とてもスポーティーで乗りやすさ抜群です。
こちらはセダンバージョンの911と言えます。
個人的には911に続いて一番好きなポルシェのラインナップです。
その理由としては特に内装のポルシェらしさです。
特にコックピットのポルシェらしさは圧巻です。
・マカン
マカンは5枚のドアと5つのシートを持った車で、4WDシステムと高めの座席位置をコンセプトに、高い実用性と個性を合わせ持った車です。
スポーツカーとしてドライバーと車との一体感を追及し、レジャーやスポーツ、趣味に、ゆとりのある空間を楽しむことが出来ます。
こちらは小さめのSUVバージョンの911と言えます。
ポルシェの車種について色々とご紹介させて頂きましたが、全てにおいて言えることは911がベースとなっていると言う点です。
ということは、端的に言ってしまえば
「911をベースとした様々な種類の車があるけれどどれが一番あなたに合っていますか?」
というのがポルシェのセールススタンスなのです。
つまり選択肢としてAとBとCがあるのではなく、A-1とA-2とA-3があるといった状態なのです。
<最後に>
現状ではポルシェ911とアウディのR8とランボルギーニのV10が共通のプラットフォームを採用する可能性が出てきています。
前回の「自動車業界の未来~フォルクスワーゲングループから見る自動車業界の企業統合~」でも扱いましたが、グローバル化は二極化を促します。
その中でフォルクスワーゲングループは上記3社を全てグループ傘下に収めました。
次に起こるのはコストカットのためのプラットフォームの共通化です。
このような動きは必ずでてきます。
その際にポルシェの優位性というものに変化はあるでしょうか?
答えはNoです。
なぜならばポルシェの売りはコンセプトだからです。
確かに水平対向エンジンやポルシェ独自のプラットフォームというものに魅力を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、大部分の方はそれらが「ポルシェのみが独占しているから欲しい」というわけではありません。
大部分の方は「ポルシェ」というブランドに惹かれて購買を決断しているのです。
したがって、唯一絶対のエンジンやプラットフォームではなくなったとしてもその魅力が陰ることはありません。
こういった部分がポルシェの強みです。
ポルシェから学べることは「好きこそものの上手なれ」といった精神だと思います。
一度このデザインやコンセプトと決めたのならばそれを変えずにやり続けるという姿勢がとても重要だと思います。
その姿勢が唯一無二のブランドを生むのです。
ポルシェのデザインと言えば両生類のようなカエルのようなデザインなのです。
では、なぜ魅力的なのでしょうか?
そのように見えるのにもかかわらず圧倒的に人気で人々の心を掴んで離さない理由は一体なんなのでしょうか?
そこにデザインの本質があります。
僕にはまだその理由が分かりません。
ポルシェの効率化に関する哲学というのは表面的なもので、実質的に人々の購買を決断させている要素としてはポルシェの圧倒的なデザイン力です。
ここで私の見解を示したいと思います。
時にアートはサイエンスを超えるのです。
言い換えれば、場合によっては不完全性(Imperfection)は完全性(Perfection)を凌駕するのです。
科学というのは完全性の追求が一種の命題となっています。
こちらもデカルトの還元主義的思想を見れば積極的にも消極的にも科学の限界を認めなければならないということは自明です。
したがって、科学以外のものが科学を超える可能性があるのです。
デザインの本質というのはこの点にあります。
したがって、なぜだか分からないけど人々の心を動かすというのはこのアートの要素があると言えるでしょう。
アートに対して感じる魅力と言うのは宗教的魅力とも言えます。
なぜならば、合理性は宗教性を排除するといったユングの主張を逆算すれば非合理性は宗教的と言えるからです。
アートや非科学や超常学や宗教の要素が最終的に最も人に対して訴求する力を持っているのではないでしょうか?
科学というのは端的に言ってしまえばデカルトによって体系化された一種の宗教なのです。
語弊を招くかもしれませんが、還元主義という思想はもはや宗教と言えます。
そしてそれらは地域性や宗教性など、ありとあらゆる伝統文化を破壊します。
それらによって現代は覆いつくされています。
それは悪いことではありません。
ですが、科学を超えるものがこの世の中には存在します。
それがアートであり宗教でありデザインなのです。
そのような魅力に溢れた車がポルシェなのです。
したがって、ポルシェの魅力はその半分は説明できるけれど、もう半分は説明することができません。
そして今回はポルシェを代表例として扱いましたが、デザインを売りにしているブランドは決してポルシェだけではありません。
あらゆる車にデザインが必要であることは自明です。
したがって全ての車に共通して言えることは、科学が全てではないという点です。
科学と非科学。
理性と感性。
対となる概念となりますが両者は非常に重要な概念です。
そしてそれらを扱う上で非常に重要な要素がバランス感です。
バランス良く両者を扱っていく必要があります。
科学と非科学の両者のバランスこそが非常に重要なのです。
今回のブログはここまでとなります。
質問などがあればコチラのメールアドレスまでお気軽にお問合せください。
→ h.chinen@raxus-create.co.jp
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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