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2016-07-04更新

水素自動車のメリット・デメリット

車には一番オーソドックスなガソリン車の他に、電気自動車やハイブリッドカーといった分類の車があります。 最近ではその他に水素自動車(燃料電池自動車)というものが出てきました。 ここでは水素自動車のメリット・デメリットなどについて説明します。

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▼水素自動車のメリット・デメリット

水素自動車とは
水素自動車(燃料電池自動車)のメリット
水素自動車(燃料電池自動車)のデメリット
水素自動車は事故を起こすと爆発する?

水素自動車とは

水素自動車はその名の通り、ガソリンの代わりに水素を燃料として走る自動車です。
水素を燃料とする自動車には以下の通り、大きく分けて2種類存在します。

・水素をエンジンで直接燃焼させて動力を得るもの
…東京都市大学(武蔵工業大学)や、マツダ・BMW・フォードなどが水素を直接燃焼させる水素自動車の試験車両を開発していましたが、市販されている車はありません。

・水素を燃料に発電して、電気を動力に走るもの(燃料電池自動車)
…トヨタ・MIRAI、ホンダ・クラリティ フューエル セルなどが販売されています。

これら2種を区別するため、前者を「水素自動車」、後者を「燃料電池自動車(Fuel Cell Vehicle=FCV)」と呼ぶ場合もありますが、トヨタ・ミライのような燃料電池自動車も「水素自動車」と呼ばれることもあるので、水素自動車は一概にどちらとは言えません。
燃料電池自動車はその仕組から、電気自動車に近いです。

この記事では主に燃料電池自動車の方を取り扱いますが、電気自動車のように排気ガスを一切出さず、航続距離はガソリン車並という一見良い所取りのような車ですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
水素自動車(燃料電池自動車)のメリット・デメリットについて解説していきます。

水素自動車(燃料電池自動車)のメリット

・排出されるのは水で、有害な排気ガスが出ない
燃料電池自動車からは水が排出されるのみで、二酸化炭素などの有害な排気ガスは出ません。
水素自動車が「クリーンなエコカー」として認知されているのはそのためですが、エンジンで水素を直接燃焼させるタイプの場合は、少量の窒素酸化物を排出しますので、燃料電池自動車程エコロジーではありません。

・燃料の補給はガソリン車同様に短時間で済む
電気自動車は満タンまで充電するのに、数時間~10時間程度必要になります。
大型施設などに設置された急速充電器であれば、およそ30分程度で80%までバッテリーを充電できますが、それでもガソリン車の10倍程の時間がかかってしまいます。
燃料電池自動車は電気で走行しますが、充電は走行中に水素を使ってするため、燃料である水素の入ったタンクを交換するだけで良いので、燃料の補充はガソリン車と同等の時間で可能です。

・電気自動車より航続距離が長い
電気自動車はバッテリー容量の限界で、満充電から100~200km程度しか走行することができません。
また、その航続距離もメーカーの公称値であって、実際には気温(バッテリーの性能に影響)や、エアコンの利用の有無などで、航続距離はそれより大きく下がることがあります。
近所の移動のみの利用で毎日充電するのであれば問題ありませんが、旅行などで長距離移動する際には心許ない航続距離です。
一方、燃料電池自動車の航続距離はトヨタ・ミライで650kmとされており、燃費の良いガソリン車ほどではありませんが、電気自動車に比べれば格段に長い航続距離を持ちます。

・ガソリン車よりも騒音が少ない
ガソリン車は、燃料であるガソリンを爆発させる力で走るため、エンジンからの騒音は避けられません。
一方で、燃料電池自動車は基本的には電気自動車であるため、モーターの駆動音と水素を利用した発電時に発生する小さな音だけで、静粛性は非常に優れています。

水素自動車(燃料電池自動車)のデメリット

・水素の製造過程で二酸化炭素が排出される
水素自動車からは二酸化炭素が排出されることはありませんが、その燃料である水素を生成する過程で二酸化炭素は生まれてしまいます。
工業的に水素以外の物を作る際の副産物として水素が生成されるものもありますので、水素を生成するために余分に二酸化炭素が排出されているということではありませんが、「二酸化炭素(有害な排気ガス)を一切排出しない」というわけではないことも事実です。

・燃料電池の製造コストが高いため、車両価格が高くなる
歴史の長いガソリン車のエンジンに比べると、水素自動車の歴史はまだまだ短く、また燃料電池の触媒にはレアメタルが必要となりますので、一般的なガソリン車に比べると車両価格は高くなります。
例としてトヨタ・ミライは、新車のメーカー希望小売価格が700万円を超えます。
もちろんエコカーとして国からの補助金が出ますのでそれよりも安くなりますが、それを含めても500万円を超える車両価格です。
同程度のスペックのガソリン車に比べると、車両価格は高いと言わざるを得ないでしょう。

・水素ステーションの数が少ない
全国に3万箇所以上存在するガソリンスタンドには複数のガソリン給油設備が設置されていますが、その中でも充電設備を設置しているガソリンスタンドは1万箇所程度で、1/3ほどしかありません。
そして水素タンクを補充できる水素ステーションは充電設備に比べても圧倒的に少なく、現在でも全国に100箇所もない状況(2016年7月時点で91箇所)です。
水素ステーションが存在しない県も存在しますし、存在する県にしても数か所程度しかないため、燃料の充填に苦労するのは間違いありません。

・燃料となる水素そのものが高い
電気自動車や、ハイブリッド車(HV/PHV/PHEV)は車両価格こそ高いですが、その分優れた燃費性能を持ち、走行距離が多い人は燃費の差によって車両価格の差を埋められることもあります。
しかし、水素自動車は燃料となる水素が高く、車両価格が高いことも合わせると、経済的な車とは言えません。
車を買うのも、維持するにも多大なコストがかかりますので、経済的な理由で水素自動車を購入するメリットは、少なくとも現時点では全くないでしょう。

水素自動車は事故を起こすと爆発する?

水素は可燃性のガスですので、事故で炎上、爆発しないかと心配する方もいらっしゃるかと思いますが、結論から言えば水素自動車(水素タンク)には何重もの安全策が施されており、非常に安全です。

まず水素タンクは非常に頑丈に作られています。
タンク内は350~700気圧という非常に高圧な状態を保てるようにするため、強度の高い素材で作られており厚みもあります。
トヨタの実験では、フレームが歪む程の衝突事故を起こしても、水素タンクは無事で、気体が漏れることはなかったそうです。

そして次に、事故の際に加速度センサーが衝撃を感知し、バルブが閉じてタンクからの水素の供給が停止されます。

上記は水素が漏れないようにする安全策ですが、それらの安全策を超えて水素が漏れてしまった場合にも対策が用意されています。
気体が燃焼するにはある一定の濃度である必要がありますが、水素は4~75%の濃度の時に燃焼します。
水素タンクからの配管は車体の外側に設置されていて、水素は非常に軽い気体で拡散しやすく、水素が漏れ出た時点ですぐに濃度が下がるので、燃えにくくなります。

また、水素が漏れなかったとしても、それ以外が原因(駐車場の火事など)で水素タンクが火に包まれてしまった際の安全策もあります。
水素タンクは非常に高圧になっており、タンクが加熱され続けるとその圧縮された気体がさらに膨張し、凄まじい勢いの爆発になるように思えますが、タンクには「溶栓弁」というものが付いており、加熱された時に溶栓弁がすぐに溶けて水素を放出し、タンク内の気圧を下げます。
これによりタンク加熱による大爆発は起こらないようになっています。

更に、タンクを意図的に破損させて水素に火を付けて炎上させる実験を起こした際にも、水素は空気より軽いため垂直に火柱が上がり、1分程度でガスを出しきって炎は消えます。
ガソリン車を同条件で、ガソリンタンクを破損させて火を付けた場合は、ガソリンが地面に広がってタイヤ・車体ごと大炎上してしまいますので、この実験においては水素自動車はガソリン車よりも安全と言えます。

まとめ

様々なメリットのある水素自動車(燃料電池自動車)ですが、それと同等以上のデメリットも現段階では存在しており、そのためまだまだ普及しているとは言えない状況にあります。
水素自動車(燃料電池自動車)が普及するには解決しなければならない課題が多くあるとわかります。
特に、「水素ステーションの数」「水素タンクの価格」については一般の利用者にとって最も重要な要素ですので、出来るだけ早い解決が望まれます。

ハイブリッド車が進化してプラグインハイブリッド車が登場したように、バッテリー容量を増大させて自宅での充電による数十km程度の走行が可能でバッテリーが少なくなったら水素タンクから充電を開始する「プラグイン燃料電池自動車」のような車が登場すれば、現時点での燃料電池自動車の弱点はある程度カバー出来るかと思います。
燃料電池自動車は元々電気で走行するため、バッテリー容量さえ増大すれば技術的には可能なはずです。
ただその場合にも、車の重量、バッテリーの搭載スペース、更に高騰するであろう車両価格など、問題はあるかとは思いますが、今後の水素自動車の発展に期待ですね。

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